2026年7月11日時点の情報に基づく
相続した家がいくらで売れるか——自分で相場を調べる4つの方法
相続した実家がいくらで売れそうか、無料で当たりをつける方法は4つあります。精度が高い順に並べると、①成約価格データ、②ポータルサイトの売出し価格、③固定資産税評価額・路線価からの概算、④不動産会社の査定です(④は無料ですが査定という別の行為のため参考として最後に置いています)。
方法1: 不動産情報ライブラリの成約価格データ
国土交通省が公開している不動産情報ライブラリを使うと、実際に成約した価格を確認できます。令和6年4月に公開されたサイトで、以前の「土地総合情報システム」から移行しました。売出し価格ではなく実際に取引が成立した金額のため、4つの方法の中では最も実態に近いデータです。
収録データは2系統あります。ひとつは国土交通省が取引当事者へのアンケートをもとに集計する「不動産取引価格情報」、もうひとつは不動産会社間の情報ネットワーク「レインズ」に登録された成約事例をもとにした「成約価格情報」です。
調べ方は、トップページから「不動産価格の情報をご覧になりたい方へ」→「データの検索・ダウンロード」と進み、地域を入力したうえで、物件種類と時期を指定すると、該当する取引の一覧が表示されます(画面上のボタン名は更新される場合があるため、大まかな流れとして参考にしてください)。
利用にあたっては次の点に注意してください。所在地は町名までの単位で表示され、番地までは特定できません。価格は有効数字2桁に丸められて表示されます(例: 5,180万円→5,200万円)。また、データの公表は四半期ごとで、直近の取引がすぐには反映されないタイムラグがあります。
似た仕組みに、不動産会社が使う「レインズ・マーケット・インフォメーション」もあります。これも同じ成約データがもとになっていますが、物件の条件を絞ってピンポイントで検索したいときに使いやすい別の窓口です。
方法2: ポータルサイトの売出し価格
不動産ポータルサイトに掲載されている価格は、売主が「この価格で売りたい」と提示している売出し価格であり、実際に成約した価格ではありません。売出し価格は成約価格より高めに設定されることがあり、両者には乖離が生じます。売り出してから時間が経っている物件ほど、当初の強気な価格が実勢と離れていることが多く、売出し価格をそのまま鵜呑みにはできません。
近隣で似た条件の物件が複数掲載されている場合は、価格帯の目安をつかむ材料にはなりますが、成約価格データと突き合わせて確認することをおすすめします。
方法3: 固定資産税評価額・路線価からの概算
毎年送付される固定資産税の納税通知書に記載の評価額や、国税庁が公表する路線価から、時価のおおよその見当をつける方法です。評価額・路線価はそれぞれ算定の目的や基準となる時期が時価と異なるため、そこから時価に引き直す換算式には幅があります。
方法4: 不動産会社の査定
最も精度が高いのは、実際に物件を見てもらう不動産会社の査定です。査定は無料で受けられ、査定前に準備しておくと精度が上がる書類についてはこちらの記事にまとめています。
相場が分かったら、手取りを計算する
相場の見当がついたら、その金額をシミュレーターの「想定している売却価格」の質問に入力すると、税金や諸費用を差し引いた後の概算の手取り額と、使える可能性のある特例がわかります。相場は売却を決める前の段階でも、税額の見当をつける材料として使えます。
よくある質問
Q. 自分で調べた相場と、不動産会社の査定額が大きく違います。どちらを信じればいいですか?
A. 自分で調べる方法は、いずれも「当たりをつける」ためのものです。査定額は個別の物件を見たうえでの金額のため、実際に売る前提で動く段階になったら査定額を優先してください。差が大きい場合は、その理由(立地・建物の状態・成約事例との違いなど)を査定担当者に確認するとよいでしょう。
Q. 空き家や古い家でも同じ方法で相場を調べられますか?
A. 同じ方法で調べられますが、古い建物は土地値がベースになりやすく、成約価格データも似た条件の事例が少ない場合があります。
Q. 4つの方法で出した金額がバラバラでした。どうすればいいですか?
A. 4つの方法は精度も前提条件も異なるため、金額に幅が出ること自体は自然です。まずは方法4(不動産会社の査定)で実際の物件を見てもらったうえで、その金額をシミュレーターに入力して税額の見当をつけることをおすすめします。
根拠
- 国土交通省「不動産情報ライブラリ」(https://www.reinfolib.mlit.go.jp/)
- 国土交通省 不動産取引価格情報提供制度について
- 国税庁 財産評価基準書(路線価図・評価倍率表)
本記事は国税庁が公表する情報に基づく一般的な税制の参考情報であり、個別の税務相談・税額の確定ではありません。特例の適用可否や申告については、税務署または税理士にご確認ください。