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2026年7月20日時点の情報に基づく

家を解体して売る——費用相場と流れ、税金が変わるポイント

古い家を解体してから売るか、古家付きのまま売るかは、解体費用・売れ方・税金の3つの観点から考える必要があります。解体費用は構造や立地、残置物の量などによって大きく変わるため、この記事では相場を断定せず、費用が変わる要因と調べ方を中心に解説します。

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結論: 解体費の考え方と、古家付き・更地の違い

解体費用は、建物の構造(木造・鉄骨・鉄筋コンクリート等)だけでは決まりません。着工前には分からない・見えない要因によって、同じ延床面積の建物でも追加費用が発生することがあります。

  • 地中埋設物——解体を進めてから地中の旧建物の基礎・杭、浄化槽、井戸、ガラ(コンクリートくず等)が見つかると、その撤去・処分に追加費用がかかります。施主がその存在を知らなかった場合でも、原則として土地の所有者(施主)の負担になります。見積書には金額を確定させず「地中埋設物が発見された場合は別途精算」と明記されているのが一般的です。
  • アスベスト——古い建物の外壁・屋根・天井材等にアスベスト(石綿)が含まれている場合、法令に定められた除去作業が必要になり、費用が上がります。2022年4月1日以降、床面積の合計が80㎡以上の解体工事等では、着工前に行う石綿含有建材の事前調査結果を行政へ報告することが大気汚染防止法で義務付けられています。
  • 残置物——家具・家電等の残置物は、個人住宅の解体では一般廃棄物として扱われ、自治体の廃棄物処理制度に従って処分します。量が多いほど処分費用は増えます。
  • 重機の搬入経路・前面道路の狭さ——前面道路が狭い、隣地との距離が近いなどの理由で重機が入れない場合、手作業(手壊し)の比率が増え、その分費用が上がります。
  • 隣接建物との近接——近隣の建物との距離が近いと、粉じん・騒音対策(養生や防音・防塵措置)が必要になり、コストが増えます。

これらは、同じ広さの建物でも見積額に差が出る理由です。金額の相場を一律に示すことはできませんが、複数社から見積もりを取って比較すること、そして見積書に地中埋設物やアスベストの扱い(別途精算の条件、事前調査の有無など)が明記されているかを確認することが、追加費用の発生を後から知って慌てないための備えになります。

古家付きのまま売る場合と、更地にしてから売る場合とでは、買い手の層や売れるまでの期間が異なります。更地は買い手の選択肢が広がりやすい一方、古家付きのまま売る方が早く決まることもあり、どちらが有利かは物件ごとに異なります。

解体して売る流れ

  • 残置物の撤去
  • 解体業者への見積もり依頼・比較
  • 解体工事
  • 建物の滅失登記
  • 売却活動・売買契約

建物を取り壊したら、滅失した日から1か月以内に建物滅失登記を申請する義務があります。怠ると10万円以下の過料が定められていますが、実務上は期限を過ぎてすぐに過料が科される例は稀で、期限後でも申請自体は可能です。とはいえ、滅失登記をしないままだと、取り壊した建物に固定資産税が課され続けたり、土地の売却手続きの障害になったりすることがあるため、気づいた時点で速やかに申請することをおすすめします。滅失登記の代理は土地家屋調査士の業務であり、司法書士ではない点にも注意してください。

税金が変わる3つのポイント

① 空き家特例の取壊しルート

空き家特例(相続空き家の3,000万円控除)は、建物を残したまま売る場合は耐震基準への適合が必要ですが、更地にして譲渡すれば、この耐震基準の要件を回避できます。また、建物を残して売る場合でも、譲渡の翌年2月15日までに買主が取り壊しまたは耐震改修を行えば要件を満たせる、という緩和もあります(令和6年以後の譲渡)。取り壊してから譲渡するルートには、取壊し後1年以内に売買契約を結ぶことなど別の要件も絡むため、詳しい要件は空き家特例の記事で確認してください。

② 土地の固定資産税が上がる

更地にすると、土地にかかっていた住宅用地の固定資産税軽減がなくなり、翌年から土地の固定資産税が上がり得ます。

③ 取壊し費用が譲渡費用になる場合がある

土地を売るために建物を取り壊し、その取壊しが「土地の譲渡のために行われたことが明らか」な場合、取壊し費用と建物の未償却残高(取り壊した分の損失額)を、譲渡費用として税額計算に含められます。

ここには2つの誤解が広まっているので、注意してください。ひとつは「解体から1年以内に売らないと譲渡費用にできない」という誤解です。この譲渡費用の算入に、明文の期間制限はありません(「1年以内」というルールは、空き家特例の取壊しルートなど別の制度の話で、混同されがちです)。要件はあくまで、取り壊しと売却の因果関係が明らかであることです。もうひとつは、買主が取り壊す場合との混同です。取壊し費用を譲渡費用にできるのは、売主が売却前に自己負担で取り壊した場合に限られ、古家付きのまま売って買主が取り壊す場合は、売主の譲渡費用にはなりません。

なお、老朽化や事故などを理由に取り壊した後、かなり時間が経ってから土地だけを売却したようなケースでは、取り壊しと売却の因果関係が認められず、譲渡費用として否認された裁決例があります。取り壊すのであれば、それが売却のためであることを明確にし、取り壊しと売却の段取りを最初から一体で考えておくことをおすすめします。

解体前に確認すること

解体する前に、再建築できる土地かどうかを確認する

古くなった実家を相続すると、まず解体を考えがちです。ただ、解体を進めてしまうと、再建築ができない土地だけが残り、かえって資産価値を落としてしまうことがあります。

建物が今建っているからといって、更地にした後に同じように建て替えられるとは限りません。建築基準法では、建物の敷地が原則として幅4メートル以上の道路に2メートル以上接している必要があります(接道義務)。古い家は、この基準ができる前に建てられた「既存不適格」の状態にあることがあり、その場合、今ある建物は使い続けられても、取り壊すと新しい建物を建てられなくなります。

更地にした瞬間に再建築不可と判明すると、土地の価値は大きく下がります。解体は取り返しがつかないため、着手する前に再建築の可否を確認しておくことが重要です。

確認の方法

再建築の可否は、市区町村役所の建築指導課などの窓口で調べられます。前面の道路が建築基準法上の道路にあたるか、道路台帳で種別を確認し、あわせて敷地が必要な幅で道路に接しているかを見ます。図面上の数値だけでなく、現地で実際に接道の幅を測っておくと確実です。

再建築不可でも、可能性を確認する余地はある

仮に今の状態では再建築不可でも、隣接する土地の一部を購入したり借りたりして接道の条件を満たせば、再建築が可能になる場合があります。解体や売却を決める前に、こうした選択肢がないかもあわせて確認しておくと、判断の幅が広がります。

まず解体、ではなく、まず現状確認

相続した実家は古くなっていることが多く、つい早く解体して更地にと考えがちです。ただ、大切なのは解体を急ぐことではなく、その土地が再建築できるのか、古家付きのまま売る方が有利ではないか、現状を正しく把握することです。

見積もりの取り方

解体費用は業者によって差が出やすいため、複数社から見積もりを取って比較することが重要です。

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よくある質問

Q. 解体費用は誰が負担するのですか?

A. 更地にしてから売却する場合、解体費用は売主が負担するのが通常です。古家付きのまま売却し、買主が取り壊す場合は買主側の負担になります。どちらの形で売るかによって、誰がいつ費用を負担するかが変わります。

Q. 更地にすれば必ず高く、早く売れますか?

A. そうとは限りません。更地の方が買い手の幅が広がりやすい一方、古家付きのまま売る方が早く動くケースもあります。この記事は「解体すべき」と勧めるものではなく、両方の選択肢を比較する材料を示すものです。

Q. 解体してから、すぐに買い手が見つからなかったらどうなりますか?

A. 建物がない土地を保有する期間は、住宅用地特例(固定資産税の軽減措置)が使えないため、その間の固定資産税の負担は増えます。また、更地は古家付きの土地に比べて買い手が限られる場合があります。古家付きであれば、リフォームして住みたい人や、既存不適格でも建物として使いたい人にも検討してもらえますが、更地にすると用途が土地の新規利用に絞られます。売れるまでの期間が読みにくいときは、急いで解体するよりも、古家付きのまま売り出して反応を見る、あるいは買主が決まってから取り壊す、といった順序も選択肢になります。

解体するかどうかにかかわらず、まずはシミュレーターで概算の税額と使える可能性のある特例を確認しておくと、判断材料が揃います。

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根拠

  • 国税庁タックスアンサー No.3306(相続空き家の3,000万円特別控除の特例)
  • 国税庁タックスアンサー No.3320(取壊し後1年以内の売買契約等、空き家特例の要件)
  • 国税庁タックスアンサー No.3255(譲渡費用となるもの)(4)
  • 所得税基本通達33-8(土地の譲渡のために建物を取り壊した場合の取壊し費用等)
  • 不動産登記法第57条・第164条(建物滅失登記の申請義務・過料)
  • 大気汚染防止法(床面積の合計80㎡以上の解体工事等における石綿含有建材の事前調査結果報告義務、2022年4月1日施行)
  • 国土交通省・環境省「建築物等の解体等における石綿飛散防止対策」制度案内
  • 地方税法第349条の3の2(固定資産税の住宅用地特例)
  • 建築基準法第42条・第43条(接道義務)

本記事は国税庁が公表する情報に基づく一般的な税制の参考情報であり、個別の税務相談・税額の確定ではありません。特例の適用可否や申告については、税務署または税理士にご確認ください。